医療機器の製造業務をおこなうために
医療機器を製造する為には「医療機器製造業」許可が必要になります。
この「製造業」は、純粋に製造行為のみを行える許可ですので、この許可だけでは完成した製品を市場に上市し、流通させることはできません。(併せて製造販売業許可も必要になります)
委託されての製造のみを行うのであれば、この「製造業」許可のみで問題ありません。
医療機器製造業とは?
「製造業」とは、文字通り医療機器を製造する行為はもちろんですが、保管などの行為も「製造」にあたります。
ですので、製造業は複数の区分に分かれており、会社の形態に応じた許可を取得することになります。
Ⅰ 厚生労働大臣が指定したもの、及び製造管理や品質管理に特別の注意を必要とするものとして厚生労働大臣が指定したものを製造する区分
Ⅱ 滅菌医療機器を製造する区分
Ⅲ ⅠとⅡ以外の医療機器を製造する区分(便宜上一般区分とします)
Ⅳ Ⅰを除く製造工程で包装・表示・保管のみの区分
ここではⅢの区分を取り上げてみます。
(包装・表示・保管区分については、医療機器の輸入ページを参考にしてください)
許可の条件は?(一般区分)
医療機器製造業(一般区分)の許可を取得する為には、以下の要件を全て満たさなければなりません。
1.責任技術者の設置
医療機器の製造業者は、医療機器の製造を実地管理させる為に、その製造所毎に責任技術者を置かなくてはなりません
医療機器の責任技術者になる為の資格は、以下のいずれかに該当する必要があります
(薬事法施行規則第九十一条3項)
一 大学等で、物理学、化学、金属学、電気学、機械学、薬学、医学又は歯学に関する専門の課程を修了した者
二 旧制中学校若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、物理学、化学、金属学、電気学、機械学、薬学、医学又は歯学に関する専門の課程を修了した後、医療機器の製造関連業務に三年以上従事した者
三 医療機器の製造関連業務に5年以上従事した後、別に厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣の登録を受けたものが行う講習を修了した者
四 厚生労働大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
但し、一般医療機器のみを製造する製造所にあっては、上記の規定にかかわらず、以下の各号に該当する者を責任技術者とすることができます
(薬事法施行規則第九十一条4項)
一 旧制中学校若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、物理学、化学、金属学、電気学、機械学、薬学、医学又は歯学に関する専門の課程を修了した者
二 旧制中学校若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、物理学、化学、金属学、電気学、機械学、薬学、医学又は歯学に関する科目を習得した後、医療機器の製造に関する業務に三年以上従事した者
三 厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
2.構造設備要件
医療機器の製造業(一般区分)の場合の構造設備要件は以下の通りです
(薬局等構造設備規則第14条)
一 当該製造所の製品を製造するのに必要な設備及び器具を備えていること
二 円滑かつ適切な作業を行うのに支障のないよう配置されており、かつ、清掃及び保守が容易なものであること
三 手洗い設備、便所及び更衣を行う場所を有すること
四 作業所は、次に定めるところに適合すること
イ 照明及び換気が適切であり、かつ、清潔であること
ロ 常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること
ハ 作業を行うのに支障のない面積を有すること
ニ 防じん、防虫及び防そのための設備を有すること
(但し、製造する製品により、この限りではない)
ホ 廃水及び廃棄物の処理に要する設備又は器具を備えていること
ヘ 製造により有害ガスを取り扱う場合には、その処理に要する設備を有すること
五 製品、製造用物質及び構成部品を区分して、衛生的かつ安全に貯蔵するために必要な設備を有すること
六 製品等の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること
(但し、委託して外部の試験検査機関を利用するのは可能)
3.人的要件
申請者(法人の場合は製造に関する業務を行う役員)が
次のいずれにも該当しないこと
イ. 法第75条第1項の規定により許可を取り消され、取り消しの日から3年を経過していない者
ロ. 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった後、3年を経過していない者
ハ. イ及びロに該当する者を除くほか、この法律(薬事法)、麻薬及び向精神薬取締法、毒物及び劇物取締法その他薬事関する法令又はこれに基づく処分に違反し、その違反行為があった日から2年を経過してない者
ニ. 成年被後見人、麻薬、大麻、あへん若しくは覚せい剤中毒者
ホ. 心身の障害により製造販売業務を適性に行うことができない者として厚生労働省令で定める者
注!QMSについて
医療機器の製造業許可要件ではありませんが、一般医療機器以外の医療機器の承認や認証にはQMSを満たす必要があります。
このQMSは、製造所に適用されるので、一般医療機器以外を取り扱う製造所においてはしっかりと認識しておきましょう。
QMSとは・・・?
正式名称「医療機器及び対外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準」(厚生労働省令第169号)と言います。
これは、ISO13485と似た品質管理システムであり、ISO13485を取得するのと似たような基準になっています。